女性用と男性用のネクタイの違いは?【後編】ネクタイ職人が解説します。

レディースネクタイ

この記事は【女性用と男性用のネクタイの違いについてのお話・後編】です。

「レディースコーディネイトとしてネクタイをしたいけど、女性用と男性用はどう違うの?」
「女性用のネクタイの決まりはあるのかな…

メンズネクタイ&レディースネクタイ


レディースのスタイルとしてネクタイを素敵に着こなしたいあなたへ
ネクタイの企画デザインから縫製までを手掛ける
女性ネクタイ職人がお話します。

さて、前編では
女性用ネクタイの、男性用との違いとして
全長、剣先の巾について詳しくお話しました。

後編では、
素材やデザインについてお話します。

女性用ネクタイのスタイル(フォルム)

◆女性用ネクタイのスタイル

「ネクタイのスタイル?」

なんとなく形のことかしら?
と想像がつくと思います。

まさにその通りで、
ネクタイには、スタイルとよばれる全体のフォルムがあります。

たとえば、首元を絞ったボトルのようなスタイル、
剣先から首元までがストレートなスタイルというようなものがあり、
ネクタイの芯地はスタイルに沿って裁断されています。


そもそも
「ネクタイに芯地が入っていたのか~」と思われましたか?
そうですね、
ネクタイには、見えないけれど大事な芯地が入っています。

ネクタイのスタイルは、
中に入っている芯地によって決まるのです。

ネクタイというと、やはり柄や生地の質感に意識がいってしまい
スタイルは大剣の巾くらいしか注目されないかもしれません。


あまり意識されない芯地のスタイルですが
芯地によって
ネクタイをしめたときの微妙な形の好みに沿うことができます。

女性の場合
首元までボリュームのあるストレートタイプは、身体の細さに対して
主張が強すぎるかもしれません。

そこで、首元にかけてボリュームダウンしたボトルタイプがおすすめです。

特に、男性用を着用する場合、ボリュームが出すぎてしまうので
もし、男性用をレディースとして着用する際は
少し意識してみてくださいね。

女性用ネクタイの素材

次に、素材についてです。
表地の前に、引き続き芯地の素材についてお話しますね。

芯地の材質にもかなりの種類があるのですが、
そんなマニアックなお話は必要がないと思うので、
女性用に適した芯地についてお話します。

ここまで読んでくださったかたは想像がつくかもしれません。
ライトな芯地がおすすめです。

ネクタイは、結んだりほどいたりするため
反発性のある芯地を使用しています。

その中でも
デニムやウールのような厚手の表地に合わせる芯地は、
薄目で、柔らかいものです。

女性用のネクタイの場合、
生地自体が薄手であっても、ライトな芯地を使った方が
身に着けたときに柔らかな印象になります。

重ねてお話しますがボリュームダウンしたほうが、
女性のボディラインに対してのミスマッチを防ぐことができます。

男性用の高級なものになるほど、
芯地はウール100%の日本製ということが多くなりますが
女性の場合はあえて、
ポリエステルがの配合が多めの芯地の方が
扱いやすいと感じます。

◆表地の材質

さて、やっと、表地の素材についてのお話です!

やはりネクタイは、柄や材質が、ファッションの印象を決める大事な要素です。


ネクタイの表地は、国産や中国、イタリアのシルクや
ウール、ポリエステルなどが主なものになります。

ネクタイ用の国産のシルクは、京都、山梨などが有名です。

男性用ネクタイは、ジャガードという柄を直接織り込んだものと
プリントを施した生地があります。
私の知っている男性に、ネクタイはジャガードしかしめないという
拘りをもった方もいます。
ジャガードは、生地が立体的で高級感があるので好まれています。

一方で、柔らかく薄手のシルクにプリントが施された生地は
女性の柔らかな印象にぴったりだと感じますし
何より、バリエーションが豊富で
遊び心を取り入れやすいですね。

プリントだと、ジャガードでは表現しにくい絵柄を
表現することもできるので
面白いアクセントになります。


国産のシルク生地ついては、
素晴らしいところがたくさんあるので
また別の機会に
書いていきますね。

女性用ネクタイのデザイン

◆柄について

男性の場合、ネクタイの柄には、ルールのようなものが存在します。
ファッションの一部として
ビジネスの場で自身をどう表現するかという
意思表示に一役買ってくれると思います。

女性の場合、男性よりもかなり
柄については幅広く楽しむことができるのではないでしょうか。


ネクタイをしめるシーンが
お洒落をして出かけるシーンなのか
ビジネスのシーンなのか、
イベントなどで遊びを演出シーンなのか。


ビジネスでネクタイをしめる女性は
現段階では、あまり多くありませんが
状況にによっては楽しむことができます。

※女性がスーツにネクタイをしめることついては
別の記事でお話していますので
良かったら読んでみてください。

いずれにしても、
男性には挑戦しにくいような
カラーリング、柄でも
女性ならば自然に着こなすことができたりします。

たとえばペイズリー柄。
男性だとおしゃれ上級者の方が
選ぶ傾向がありますが
女性だと、自然にエレガントさを強調できるのでお勧めです。


◆色について


カラーリングこそ、男性にはできない女性ならではの
生地で楽しめますよね。


男性用ネクタイだと、ネイビー、ブラウン、ワイン、などが圧倒的に多いですが
女性は、例えばシャンパンゴールド、
レッド、オレンジなどの、
ぱっとみて「とっても綺麗だけど、男性がつけるのは勇気がいるな」というカラーを
自然に着こなしていただけます。


そういうのって、すごく楽しいですよね。

あなたが魅力的にみえるネクタイに
是非、出会って頂きたいです。

◆シルクのブラック

さて、女性と男性のネクタイの違いで、
「これこそは」と思っていることがあります。

それは、ブラックのシルクタイの存在です。

ブラックタイ、国産でも製造がとても多いです。
それは、フォーマルネクタイ(弔辞用)として、です。


男性にとってのシルクのブラックは、フォーマルネクタイですね。
けれど、シルクのブラックの優美さは、
女性にとってはとてもドレッシーなアクセントとなりえます。

サテンのようにつるりと滑らかに織られたシルクもよいですが
艶消しのブラックは、とても
抑えがきいて美しい生地です。

そんなブラックシルクを
女性用のナロータイや、
アクセサリーとして身に着けることで
一層エレガントさが引き立ちます。

たとえばこんな感じ。

【ブラックシルクヘアタイ、ピアス画像入れる】


ブラックのシルクが、
フォーマルだけなんて勿体ない。
本当に上品です。

基本アクセサリーとして一つもっておくと役立ってくれると思いますよ。

〇女性用ネクタイのデザイン
これまで、
素材のお話をしてきました。
次は、女性用のネクタイのデザインです。

女性用ネクタイだからこそ
自由に遊べるところがたくさんあると思っています。

例えば裏地。
通常、男性用のネクタイは、
キュプラなどの素材でネイビー無地などが多いですね。

プリント生地や、
ブランドロゴが入った裏地などで
変化を付けているものも、
とても素敵です。


女性用の場合、
ネクタイというイメージにとらわれずに自由に
バリエーションを付けられます。

表地が無地のところに
ペイズリーの裏地や千鳥格子などで遊ぶことができます。

女性用のランジェリーや
コスメなど、見えないところが
とっても素敵で
お気に入りになるということ、ありますよね。


裏地だけでなく、
ネクタイの仕上げの閂止め
(剣先の開口部をしめる手縫いの部分です。私は、閂止めを、ネクタイの仕上げのジュエリーだと思っています)
のカラーリングで遊んでみることもできます。

このように、
男性用だと
遊びにくいディティールに、
女性ならではのデザインを
盛り込むことが可能なのですね。


オーダーメイドネクタイでは
裏地や閂止めの糸の色が選べることが多いです。

通常、
オーダースーツ専門店では
ネクタイも主に男性のお客様を想定しているので
糸色もシックなものが多いですが

女性がオーダーする際には
鮮やかなレッドなどでアクセントを加え
あなただけの一本に仕上げてみると
一層特別なものになるでしょう。

前・後編のまとめ

女性用と男性用のネクタイの違いについてお話してきました。
前・後編で長くなりましたが
お付きあい頂きありがとうございます。


最後にまとめましょう。


男性用と女性用のネクタイには、
サイズ、素材、柄や色、ディティールなどのデザインに違いがあります。

サイズは、女性用に作られたものを使用すれば
やはり体形に合っているので洗練されたネクタイスタイルに仕上がるので
お勧めです。


男性では攻めすぎかなと思うような
色柄や素材も着こなすことができ、
女性のネクタイは楽しみの幅が広がるのですね。


何度も書きますが
男性用をあえてみにつけることで
狙ったルーズ感などを演出して素敵にみえることもありますし
女性用に計算されたネクタイで
より洗練されたスタイルを演出できることもあります。

あなたが、ネクタイをコーディネートに取り入れることで
どんな風に自分を演出したいのか?
その狙いによって
ネクタイを選んでみてください。

そして、一層魅力的なあなたとして
今日を楽しんでくださいね。