女性用と男性用のネクタイの違いは?ネクタイ職人が解説します。

レディースネクタイ

「レディースコーディネイトとしてネクタイをしたいけど、女性用と男性用はどう違うの?」
「女性用のネクタイの決まりはあるのかな…」

レディースのスタイルとしてネクタイを素敵に着こなしたいあなたへ
ネクタイの企画デザインから縫製までを手掛ける
女性ネクタイ職人がお話します。
是非、参考にしてネクタイをコーディネイトに取り入れて楽しんでみてくださいね。

さて、早速ですが
女性用と男性用のネクタイの違いは
大きく分けて3つあります。

①全長
②剣先の巾
③素材やデザイン

といってもこれらは、
女性にとってベストなネクタイを作ろう
というときにはじめて考えられることであり
女性がネクタイをしめる際には
形式的な決まりはありません。

あえて女性が、
男性用のオーソドックスな
8センチ巾ネクタイをしめても
素敵に仕上がることもあるでしょう。

女性のネクタイスタイルは
形式にとらわれず、あそびがあるということを前提に、
女性にぴったりなネクタイとは?
についてお話をすすめます。

女性用のネクタイ市場

ネクタイというと、男性がビジネスシーンで着用するものというイメージが強いですね。
それは、ネクタイの歴史によるものです。
服飾評論家の出石尚三氏によれば、ネクタイは〇〇なのです。

古代ローマで兵士が身に着けた布が由来であり、その後、
イギリスで進化を遂げ、男性のファッションアイテムとして定着していきました。
この周辺のネクタイの詳細は、
他でも多く語られているので当記事では割愛しますね。

さて、日本においても、
男性用としてのネクタイが一般的であるため
これまで、女性用のネクタイというのは市場にあまりなかったのです。

制服としてのネクタイや、流行ファッションのアイテムとしてのネクタイは
レディース用も存在していましたよね。

お洒落に意識の高い方であれば、ネクタイをはずしアイテムとして活かしたり、
アクセサリーのように一点を際立たせるように使ったりもして
とても魅力的に上手に着こなしているファッションスナップなどもみかけます。

けれど、
男性が色々なシャツやジャケットに合わせて楽しむような、
いってみれば ”ほんもののネクタイ” の女性用の市場はなかっといえるでしょう。

(現在出回っている女性用のネクタイがにせものという意味ではなく、
様々な計算がしつくされた男性用ネクタイと同様に、女性にあうように計算し
職人が作ったネクタイ、という意味で区別しています)

私はネクタイ職人として様々なネクタイ縫製を手掛けていますが
オーダーメイドや、制服としての女性用を縫製することはあっても
女性用ブランドのネクタイを扱うというようなことはありません。

レディーススーツのお店に行っても
ネクタイはおいていないですよね。
現段階では女性にとってのネクタイは、
制服か、ファッションの一部としての小物であり
男性にとってのネクタイとは位置づけが異なるのはご存じの通りです。

だから現状として
レディースネクタイという市場は
ないといっていいのです。

けれど、
さきほど、オーダーメイドで女性用を作ることはある
と書きました。

そうなのです。

レディースのネクタイは一般的に市場に出回っていなくても、作ることができます。

では、どういうものが女性にベストなネクタイなのか?
について次項でお話します。

女性にぴったりなネクタイとは

女性の身長、首の細さ、ボディライン、女性のもつ空気感などを意識し
ネクタイのスタイルや素材を変化させることで
レディースのネクタイは作ることができます。

あえて男性用に近いスタイルのもので、女性らしさが逆に際立つこともありますし
女性の体形に合わせたスタイルのもので、きちんとした印象を演出できたりもします。

大切なことは、
その日の着こなしで自分をどう見せたいのか、
どのような役割を果たしたいのか
という意図にあわせ
トータルコーディネートの一部としてネクタイを選ぶことです。

では、女性に合わせたネクタイと男性用のネクタイとの違いについてお話します。

女性向けに作られたネクタイ

全長

  
レディースネクタイと男性用の違いは
一番大きなところでいうとサイズでしょう。

ネクタイは男性用でも
サイズが色々とありますね。

女性でも、男性にプレゼントしようとして
選んでみた経験があったり、
自分でネクタイをしめたいと思ったことのある方は
意識してみたことがあるのではないでしょうか。

日本人の男性向けのネクタイは
145㎝前後が主流で、オーダーメイドでは
140㎝~155㎝程度の全長でお作りすることが多いです。

身長や、首周りの太さによっても結んだ時の印象は変わるので
自分の体形にあった全長を選ぶとより美しく決まるでしょう。

では、女性の場合はどのくらいの長さがよいでしょうか。

女性の身長や、首周りの細さ、
しめてみたときの長さなどを考慮すると
137㎝前後が美しく仕上がりやすいですね。

男性のスーツスタイルと違って
女性の場合は、長さも色々と遊べる幅があるので
短くてもよい場合もあります。

私は身長が154㎝と低めですが
137㎝のネクタイが、
スーツをマニッシュに着こなすのに
丁度よいと感じます。

小剣側はゆとりのある長さに仕上がります。

剣巾

次に、剣先の巾についてです。

例によって、男性のネクタイにも
大剣巾、小剣巾のバリエーションがあります。
(ネクタイを結んだときに前にくる方を大剣、後ろの細い方を小剣といいます。
女性の方はご存じでない場合が多いかもしれませんね)

トレンドにあわせて
ネクタイの巾の主流は変わってきます。

大剣はワイドタイで、9センチ、
ナローで5.5センチくらいが多いです。

オーダーメイドですと
色々な巾をお作りしますが
現在、市場に出回っているネクタイの
主流は圧倒的に8センチ巾です。

では、
女性にとってはどれくらいが素敵にみえる巾でしょうか。

8センチ巾を使用すると、
男性ものをあえて使用しているという「はずし感」、
ルーズ感が演出できますね。

もしスーツで自分にぴったりなサイズをみにつけ
スマートにきめたいと考えるならば
6㎝前後がおすすめです。

シンプルに考えると、
男性用を女性がつけると、巾が太すぎたり
長さも長すぎるので、ネクタイの主張が強くなる傾向にあるのですね。

洗練されたネクタイコーディネイトを
ご希望ならば、女性用に計算された
ナロータイ(巾の狭いネクタイ)がおすすめです。

ここまで、全長と巾についてのお話をしました。

この他に、スタイルや素材、デザインなどの3つの要素がありますが
ここですべてをお話すると
とても長くなってしまうので
簡単なお話にとどめ、詳しくは次回の記事にまとめますね。

その他(別記事に詳細を記載します)

〇その他、レディース用のネクタイの要素

◆芯地のスタイル

ネクタイには、スタイルとよばれる全体のフォルムがあります。
たとえば、首元を絞ったボトルのようなスタイル、
剣先から首元までがストレートなスタイルというようなものがあります。

また、芯地の柔らかさなどをもかけあわせると、
幾種も違いが生まれるのですね。

◆素材

それから、素材。
表地はシルク100%なのか、ウール100%なのか?
シルク、リネン、コットンの割合がどれくらいずつの生地なのか。
前述したように、芯地の素材でも変わってきます。

◆柄、ディティールのデザイン 
ネクタイは、織で柄を入れるジャガードが主流ですが
女性だからこそ魅力的に映るプリント柄があります。
男性では、ネクタイは絶対にジャガードで、プリント柄はしめないという
拘りをもたれている方もいます。

ですが、
薄手で柔らかなシルクにプリントが施された生地を見ると
女性の良さを引き立てるイメージがわきます。

男性だと、やや奇抜に見えてしまう柄でも
女性ならば自然に着こなせることがあるので
コーディネイトの幅が広がりますよね。

それから、ネクタイには実は生地以外にも遊び心を
盛り込めるディティールがあります。

この、ネクタイのディティールについては
別の生地に記載しますね。

まとめ

これまでのお話をまとめると
女性用のネクタイと男性用のネクタイの違いは
全長、剣巾といったサイズと
それ以外の
素材、デザインといった要素でした。

女性が男性用をあえて身に着けることで
引き出すことのできる良さもありますし

女性用に計算して作られたネクタイで
よりあなたの魅力を引き出すということもできます。

自分自身をどんな風に演出したいか?

そんな風に考えながら
ネクタイをコーディネイトに取り入れ
楽しんでみてください。

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